市長メッセージ

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市長メッセージ

 

 

映画「アオギリにたくして」完成披露試写会が開催されるに当たり、メッセージをお送りいたします。

 

1945年8月6日、広島に投下された一発の原子爆弾は、無差別に罪もない多くの市民の命を奪い、また、かろうじて生き残った人々の人生をも一変させ、終生にわたり心身を苛み続けています。原爆は、非人道兵器の極みであり「絶対悪」です。

 

被爆者は、辛く厳しい境遇を生き抜き、核兵器の非人道性と平和への思いを訴え続けてきました。そして、その思いを世界の人々が共有し、進むべき道を正しく選択するよう願っています。

 

この映画のモデルである沼田鈴子さんも、そんな被爆者のお一人でした。広島逓信局で被爆し、左足を失った沼田さんは、逓信局にあったアオギリが、被爆で焼け焦げながらも再び芽吹いた姿に生きる勇気を得て、その後、平和記念公園に移植されたアオギリの下で、生涯をかけて国内外の多くの人々に御自身の被爆体験を語り、平和の尊さを訴え続けられました。広島市は、沼田さんを始めとする被爆者の思いを受け継ぎ、被爆の実相を風化させることなく、より多くの人々と核兵器廃絶に向けた思いを共有したいと願っています。

 

この映画は、沼田さんが被爆体験証言を通じてまき続けた「平和の種」を、もっと多くの人の心に届けたいと制作されたものと伺っています。この度の上映を通じて、沼田さんの思いが広がり、世界平和を願う大きなうねりが生まれることを期待しています。

 

終わりに、皆様の今後ますますの御健勝と御多幸をお祈りいたします。

 

平成25年(2013年)9月23日

 

広島市長  松 井  一 實