ご報告

ご支援・ご協力いただいた皆様へ

 

ミューズの里の初プロデュース映画『アオギリにたくして』では、たくさんの皆様に応援いただき、改めて心より感謝申し上げます。映画完成から今年(2019年)の夏で上映6年目となる小さなスローシネマではありますが、一つ一つの上映会が平和の種まきとなることを願って上映活動を続けています。

 

2013年7月に完成した映画『アオギリにたくして』は、渋谷アップリンク・ユーロスペース・シアターセブン・シネマ尾道・シネツイン本通り・シネツイン新天地・八丁座・サロンシネマ・福山駅前シネマモード・テアトルサンク福井・フォーラム山形・フォーラム東根・Tジョイパークプレイス大分・別府ブルーバード劇場等の映画館で劇場公開を果たし、映画センター全国連絡会議様に自主上映の配給協力をいただき、ミューズの里の事業の柱でもあるAOGIRIプロジェクトによる日本全国上映&ライブ行脚活動と共に、被爆アオギリ2世・3世の苗に「平和の尊さ」「いのちの大切さ」への思いを託して植樹を呼びかけ、日本全国上映活動を続けています。

 

映画製作においては、当初、前監督よりご提示のあった製作費5000万円(制作:3000万円、P&A:2000万円)への資金集めの営業活動を行いましたが、企業からの出資金は得られず、製作委員会方式による製作は中止となりました。この映画には出資金は一切入っていません。その後、ミューズの里の他の事業や銀行借入金、プロデューサーである中村里美・伊藤茂利の個人資金や借入金により映画製作がスタートし、協賛や支援の営業活動を行いながら初の映画製作が行われました。

 

映画完成と共に、製作支援の受付は締め切らせていただき、ご支援の額による対価として応援グッズ等による商品やチケット等をプレゼントさせていただきました。また、5万円以上のご支援者には、その他の特典と共にDVDを贈呈することになっていましたが、配給上の契約で上映活動を終えるまでDVD発売はしない方向となり、その旨を皆様にお伝えして他の商品を送らせていただき、ご希望のあった方にはサンプルDVDをお送りさせていただきました。さらに、上映活動がまだ続く中、DVD発売は行われない方針となっておりますが、配給協力会社様のご了解を得て、製作会社ミューズの里からの特別贈呈としてサンプルDVDをプレゼントさせていただきました。

 

撮影をほぼ終えた後のクランクアップ直前での監督交代と、その後の撮り直し部分の再撮影により、製作期間が延長されましたが、映画関係者の皆様はじめ支援者の皆様にお力添えいただき、無事完成することが出来ました。改めて皆様に心より感謝申し上げます。

 

約2年間に渡る製作会社ミューズの里のプロダクション維持費や人件費、P&Aや間接経費等を含まない映画の直接製作費は、32,147,228円となります。知人・友人よる支援と営業活動による企業・団体・個人の協賛、支援を含め、6,361,581円のご協力をいただき、直接製作費の一部とさせていただきました。一部の出演者以外に声の上がらなかった撮り直しではありましたが、より良い作品を作るために決断した再撮影の責任も含め、プロデューサー・監督のギャラは無しとさせていただきました。

 

目標としていた日本全国上映においては、2013年夏の映画完成から今年(2019年)で7年目の上映活動に入りますが、これまでに上映されていない都道府県は、青森・富山・鳥取・鹿児島の残り4県となりました。2016年には、アメリカで初の海外上映が行われ、ニューヨーク州・マサチューセッツ州の6箇所で初の海外上映が行われ、翌年、ロサンゼルスの学校での上映も行われました。上映&ライブでのご縁からケニアにも被爆アオギリ2世が渡っています。映画スタートから、現在に至るまでの約8年間に及ぶミューズの里のプロダクション維持費や日本全国&海外上映活動・P&A費等を含め、総製作費は6000万円以上となります。今後もミューズの里では、上映&ライブ活動と共に、被爆アオギリ2世・3世の植樹を呼びかけながら、ヒロシマ・ナガサキの被爆者の方々のメッセージを世界に伝えていくための活動を様々な形で展開していきます。

 

映画センター全国連絡会議様の配給協力により、これまで227箇所で約45,000人の皆様への上映が行われました。また、主に少人数を対象としたミューズの里のAOGIRIプロジェクトによる日本全国・海外での上映&ライブ行脚では、試写会やプロモーション活動による無料上映を含め167箇所で約8000人近くの皆様との出会いをいただきました。小さな上映会の積み重ねではありますが、総上映回数は700回を超えています。一人だけの上映会もありました。数百人の上映会もありました。その一つ一つに感謝を込めて、人と人の心の繋がりを大切に上映会の輪を広げてまいりました。

 

2016年の海外初のアメリカ上映の際には、343,162円のご支援をいただき4名が渡米しました。また、日本全国上映行脚を応援してくださる皆様からこれまでに931,774円のご支援をいただきました。改めて心より感謝申し上げます。国内外における交通費等の一部とさせていただき、今後も各地での宣伝活動と共に、日本全国上映行脚をロングランで続けてまいります。

 

 

 

 

 

2008年8月6日、ミューズの里設立と共に1000回ライブを目指してスタートした歌と語りでヒロシマ・ナガサキを伝える「いのちの音色」ライブで、アオギリの語り部として知られた沼田鈴子さんと再会し、ライブの中で沼田さんの被爆体験を朗読させていただくことになった事から、全てが始まりました。

 

東京に戻ると、被爆アオギリ3世の小さな苗がミューズの里に届きました。その可愛い苗を見て口ずさみながらつくった、沼田さんに捧げる歌「アオギリにたくして」は、2009年に広島市役所で記者会見が行われCDリリースされ、翌年2010年には、ドキュメンタリー映画『アオギリにたくして』の撮影が開始されました。撮影カメラマンと共に広島を訪れ、3度目の取材に伺ったのは、2011年6月のことでした。

 

介護ホームに入居していた沼田さんの部屋の前には、何人もの方々が面会に訪れていました。体調を崩されているとお聞きしていたので、私たちは撮影を断念し、ご挨拶だけして帰ろうと様子を伺っていたその時、沼田さんが車椅子で部屋の入り口にある洗面台に手を洗いにやって来ました。水道の蛇口をひねる力がない様子を見て、駆け寄って手を差し伸べ、洗った手をタオルでふいた後、ベッドの横まで車椅子を押してお連れすると、沼田さんは力のない握りこぶしを膝の上に立てて言いました。「死ぬのは簡単なんよ。生きて伝えないと…」。そして、「元気になったら、アオギリの木の下で子供たちと一緒に歌おうね」と、部屋を出る私の後ろ姿に声をかけてくださった沼田さんの言葉は、今も忘れることが出来ません。

 

一ヶ月後の7月12日、沼田鈴子さんは永眠されました。

 

最後のお誕生日の演奏会の前日、お部屋のベッドの横で「アオギリにたくして」を歌い演奏を終えた時、沼田さんはギタリストの伊藤茂利に、「あなたに頼んだよ。お願いね」と手を握りしめて言いました。思いを託された伊藤茂利と共に、今は亡き沼田さんに応援いただいた「いのちの音色」ライブは、今も1000回を目指して日本全国上映行脚を行っています。

 

当初、ドキュメンタリーとしてスタートした映画『アオギリにたくして』は、沼田さんが亡くなられた後、劇映画として製作することになりました。2012年1月に行われた沼田鈴子追悼式にて、関係者の皆様にご挨拶させていただき、映画製作が再スタートしました。これまで沼田さんからいただいた資料をはじめ、映画づくりに必要な資料を集め、また制作委員会メンバーが沼田鈴子さんから直接託された本『青桐の下で』〜ヒロシマの語り部 沼田鈴子ものがたり〜』(広岩近広/明石書店 1993年)を参考文献として使わせていただくことになりました。また、2011年3月11日、東日本大震災の一週間後に我々が広島に取材に伺った時、被災地の方々や福島の子供たちを大変心配されていた様子をお伝えし、そのシーンを映画の冒頭で描いていただくことになり、前監督のオフィスで初の制作スタッフミーティングが行われました。

 

約2年の製作期間と、今年の夏で6年目を迎える日本全国上映行脚。これまでの8年間は、未だに言葉にならない程の大変な日々の連続でした。しかし、たくさんの皆様との素晴らしい出会いをいただきました。心の目で見なければ見えてこない、お金では決して買うことの出来ない一番大切な宝物を拾い集めていく、そんな日々した。これまでの日々を振り返り、皆様に改めて心より深く感謝申しあげます。

 

「世界中の誰にも自分と同じ苦しみを二度とさせたくない」と願い、本当は忘れてしまいたい辛く悲しい体験を語り継いでくださった、ヒロシマ・ナガサキの被爆者の皆様の平和への祈りを胸に、今後もミューズの里では、地道な自主上映活動を続けて参ります。

 

2008年8月6日の設立理念を忘れることなく、これからも「いのち・平和」「異文化間相互理解」「表現の場づくり」をテーマに、国籍・世代・ジャンルを超えて、映画・音楽・出版等を通して、人々の心が豊かになる媒体を創造し、国際社会の平和づくりに貢献する事業を目指していきます。

 

現在ミューズの里では、映画『アオギリにたくして』のモデルで被爆者の沼田鈴子さんが亡くなる4ヶ月前(3・11直後)に撮影されたメッセージと共に、被爆アオギリ2世・3世の植樹が日本全国に広がり、平和の種を蒔く人々を描くドキュメンタリー映画『いのちの音色』を製作中です。

 

映画『アオギリにたくして』日本全国上映活動と共に、『いのちの音色』完成に向けて、ミューズの里スタッフ一同、全力で挑みます。今後ともより一層のご支援・ご協力をお願い申し上げます。

 

2019年3月4日

製作会社ミューズの里 代表取締役
映画『アオギリにたくして』企画・製作
統括プロデューサー:中村里美

 

 

 

 

 

沼田鈴子さんに応援いただいた「いのちの音色」ライブは、今も1000回ライブを目指して日本全国ライブ行脚を行っています。ミューズの里のロゴマークで、2009年にリリースされた初のCD「アオギリにたくして」のジャケットにも使用されたイラスト入りのグッズは、ミューズの里スタッフTシャツでもあり、またライブ「いのちの音色」やその他イベントの応援グッズとして、エコバックや缶バッチと共に好評をいただいています。

ミューズの里では、これらの応援グッズを、皆様への感謝を込めて、映画製作スタッフはじめ、製作にご支援・ご協力くださった方々、各地の上映支援者やご協力者の皆様、アオギリ合唱団はじめAOGIRIプロジェクト事業にご協力くださった皆様に贈呈しています。また、上映会場やライブ会場でも全国上映行脚の応援グッズとして販売させていただきました。サントラ盤CDアルバム「アオギリにたくして」も含め、Tシャツ・エコバック・缶バッチ等の物販から3,620,000円を『アオギリにたくして』日本全国上映&ライブ行脚の交通費等の経費の一部とさせていただきました。皆様に改めて心より感謝申し上げます。